寺月恭一郎

その名前は偉大だとか天才とかいう次元を飛び越えて“怪物”と同義語になってしまっている。

 二十四歳にして設立したアクセサリー会社が大当たりして。それを元にまるっきり関係のない世界どこでも配送可能の大規模な運送会社を設立し、これもまた成功する。そしてあとはもう、何でもやりたい放題だ。彼の会社のムーンコミュニケーションズ・エンタープライゼス、通称MCEが手を出さなかった業種はないと言ってもいい。噂ではMCEはどこかの外国では兵器をつくっていたとまで言われている。情報収集とそれを活用するのが異常に上手く、どこに何を動かせばいいのか知り尽くしていた、ということなのだろう。運送会社という母体も、考えて見れば“後で自分が使うため”だったとしか思えない。